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カンピロバクターをご存知ですか?

――新鮮=安全は都市伝説、トリの生・半生は命がけ?



こんにちは。


突然ですが、日本で1番高い山といえば?

答えはもちろん富士山、標高3,776mです。 


続いて日本で2番目に高い山は…?


答えが出ない方も多いと思いますが、正解は南アルプスに位置する北岳、標高3,193mだそうです。かくいう私も知りませんでした(笑)


 そして前回、「いま1番多い食中毒はアニサキス」と紹介しました。では2番目に多い食中毒は何でしょうか…?


 正解は……カンピロバクターという微生物です。ギリシャ語の“campylo”(カーブした)と“bacter”(棍棒)に由来しているそうで、電子顕微鏡で見ると、らせん状の円筒形をしています。


 では、カンピロバクターはどこにいるのでしょう?


 実はカンピロバクターは、ほとんどの鶏肉に付着しています。しかも、菌の数が少なくても、カンピロバクターが付着した食品を食べたら、私たちは病気にかかる可能性があるのです。敵に回すと非常に厄介です。


 とはいえ、恐れすぎる必要はありません。カンピロバクターは加熱すれば死にます。


 この食中毒のほとんどが飲食店で起きていますが、特に警戒を要するのは鶏肉が十分に加熱されていない場合です。例えば鶏刺しや鶏タタキは、表面を軽くあぶるだけのことが多いので要注意といえます。


 以前、とあるイベントで、軽く湯通しした鶏のササミをシャリに乗せた「肉寿司」を提供したところ、大規模な食中毒が発生した、なんてこともありました。


 近年のキャンプブームもあり、バーベキューを楽しむこともあると思いますが、BBQの鶏肉が加熱不足で食中毒が起きた、なんてこともあります。楽しいBBQを食中毒で台無しにしたくないですから、お肉はしっかり焼いてくださいね。


 一部の地域では生食用の鶏肉も流通していますが、これは非常に厳しい管理をされたものに限られています。食品は「新鮮だから安全」と安易に思い込まない方がよい場合もあるのです。



 カンピロバクターでもう1点、警戒が必要なのは、この食中毒にかかった患者の中に、ギランバレー症候群という病気を発症する人がいることです。大原麗子さんや安岡力也さんがかかったことで知られる、あのギランバレー症候群です。重篤になると、手足が動かなくなるなど神経系の症状が出ることもあります。


 テレビ等のメディアでは、「鮮度の良い肉は生でも美味しい!」もいったコメントが飛び出すかもしれません。でも「新鮮=安全」は都市伝説に過ぎないかもしれません。間違った情報を鵜呑みにして、取り返しのつかないことにならないように注意してほしいと思います。トリの生・半生を食べる時は、食中毒の危険と背中合わせ、それこそ“命がけ”の食事になるかもしれないのです。

 カンピロバクター食中毒は、学校の調理実習で起きることもあります。少し難しいですが、是非一緒に考えてみてください。


 調理実習で親子丼とサラダを作りました。親子丼の鶏肉は、しっかりと加熱しました。でもカンピロバクター食中毒が起きてしまいました……原因は何でしょう?


 よくある原因は、加熱前の鶏肉のドリップ(肉汁)がサラダにかかった、あるいはドリップがまな板や包丁に付いて、それがサラダにくっついた、という状況です。加熱前の鶏肉のドリップですから、その液体にはカンピロバクターが含まれている可能性があるのです。


 でも、対策は難しくありません。サラダと鶏肉を近くに置かない(ドリップがかからないようにする)、鶏肉が触れた包丁やまな板、キッチンのシンクはしっかり洗う……そんな簡単な対策を一つひとつ丁寧に積み重ねれば、それは十分に有効な対策となります。


 調理の基本とも言えますね。何事も基本は大切と改めて感じます。


 対策としてジクロメイト等で生成する次亜塩素酸水は、包丁やまな板、シンクなどのカンピロバクター対策にも有効です。


 微生物はスゴク小さいので、どんなに目を凝らしても見えません。ヒトの手に付いた1匹の微生物を探すというのは、富士山に転がったバスケットボールを探すくらいのサイズ感です。


 見えない敵ですから、「微生物はそこにいる」とイメージしながら料理をすることが大切です。そうすれば過剰に恐れる必要はありません。


皆さんの衛生対策の一助になれば嬉しく思いますので、リンクも確認してみて下さい。








最後まで読んでいただきありがとうございました。



ATP・迅速検査研究会 理事

(元月刊HACCP副編集長・元月刊フードケミカル副編集長)


立石 亘




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